ベン・ホーガンをリスペクトしながらも、それ以上のブラッシュアップを果たした二人の共通点
無数に存在する、昨今のゴルフスイング「理論」の数々。
この連載では、「本気でイチから」スイングとは何か?を構築したいゴルファーの皆さんにお話ししていこうと思います。
現在活躍している世界中のプロゴルファーのお手本にはいくつかのモデルゴルファーが存在していますが、その「源流」かつ現代スイングにも通ずる「近現代スイング」「ゴルフ学」をまずは知っていただきたいと思います。
2021マスターズでもオナラリースターターを務めている「ビッグ3」である、ジャック・ニクラウスとゲーリー・プレーヤーにはたくさんの『共通点』が有ります。
その共通点は、プロアマ老若男女問わず【実践できる】不滅のオーソドックスなものです。
①ドライバーショット&パターの名手
ベン・ホーガン選手が晩年悩まされた、パターイップス。大事故から奇跡の復活を果たし数々のメジャー優勝を果たした彼でさえ克服できなかったパターイップスは、歴史的なボールストライカーの選手生命を奪うほどだったと言います。
同年代であるバイロン・ネルソンと共に親交があったジャック・グラウト氏の生徒であるニクラウス選手と、ホーガン理論の実践者と言われたプレーヤー選手は共に勝負強いパッティングを武器にしたままシニアツアーでも大活躍しました。
また、ドライバーショットの名手でもある二人は世界のトッププロでさえ難しい『ドライバーショットとパッティングの両立』を現役〜シニアでも継続できた稀有なメジャーチャンピオン&グランドスラマーと言えます。
②ギアの大幅変更にスムースに対応できた現代的スイング
1900年当時のゴルフクラブは、ヒッコリーと呼ばれる木製のシャフトが装着されていました。その後、スチールシャフトが登場し、R&Aが使用を認めた1930年以降に主流になっていきます。
ジャック・ニクラウス&ゲーリー・プレーヤーが活躍した時代には、その後1970年代にブラックシャフト(カーボンシャフト)が登場し一気にウッドシャフトの装着が進みました。
ドライバーヘッドの素材は、1992年にフレッド・カプルス選手が優勝するまでマスターズの優勝者はパーシモン(柿の木)ヘッドのドライバーを使用していました。
パーシモンからメタルウッドに主流が移っていく中、1990年代にはチタンウッドが登場します。その後2000年以降は一気に大型ヘッド時代が始まり、現在の主流である460ccになっていきました。
ジャック・ニクラウス&ゲーリー・プレーヤーの二人は、長いゴルフの歴史の中でも「大きなギアの変換期」と言える中でもスムースに対応。引退を脅かすスランプもなくシニアツアーでも大活躍しました。ちなみにジャック・ニクラウス選手は、58歳で出場した1998年のマスターズでチタンドライバー&軽量カーボンシャフトを駆使し、何と6位タイの好成績を出しています。
③現代プロの常識を構築&実践

今でこそPGA選手に限らず、プロゴルファーのほとんどが実践しているフィジカルトレーニング。当時から実践している選手は他にもいましたが、飛距離アップ&パフォーマンスアップを獲得できた選手は唯一ゲーリー・プレーヤー選手と言っても過言ではありません。繊細なタッチを失わずに、強い身体とメンタル・技術の構築は40代〜現在も生涯現役を明言するほどです。
一方、誰でも知っている「コースガイド」「コースブック」メモによるコース戦略をいち早くツアーで導入&実践し数々の優勝に結びつけたニクラウス選手。多くのプロが目測でプレーしている中で、歩測による距離の確認も非常に早くから取り入れ「結果」につなげた第一人者と言えます。
④歴史的コース設計家として数々の名門コースに関与
ジャック・ニクラウス&ゲーリー・プレーヤーの二人の「コース設計家」としての顔を、日本でも数多くのゴルフ場にみることが出来ます。彼らの他にも「選手かつコース設計」の実践者はいます。しかし、二人の根本的な違いは『現代にも通じるコース戦略』のために自身のプレーやスイングを構築していた点です。
二人が数々の名門コースに関わっている事からも「ゴルフ学」コンセプトがみて取れます。